61 右鎖骨を骨折した20代女性主婦について、右鎖骨の変形障害につき第12級5号、右肩関節の機能障害につき第12級6号に該当し、併合第11級が認定され、最終受領額1500万円で解決した事案
後遺障害等級併合11級 :鎖骨・胸骨・肋骨・骨盤骨・臓器の障害 / 鎖骨骨折 、20代女性、主婦
①右鎖骨の変形障害につき第12級5号、②右肩関節の機能障害につき第12級6号
顔右鎖骨を骨折した20代女性主婦について、右鎖骨の変形障害につき第12級5号、右肩関節の機能障害につき第12級6号に該当し、併合第11級が認定され、最終受領額1500万円で解決した事案です。
保険会社提示額 | - 万円 |
増加額 | - 万円 |
交通事故状況
自動車に同乗中、右方より赤信号を無視して交差点に進入してきた加害車両に衝突され、右鎖骨骨折の傷害を負いました。
ご依頼者のご要望
治療中にご相談に来られ、骨折部位の変形等について、後遺障害として適切な認定を受けること等をご希望されていました。
受任から解決まで
受任後、後遺障害の認定に向けたサポートを実施しました。まず、主治医より後遺障害診断書を記入して頂いたところ、体幹骨の変形に関する記載が漏れていました。
しかし、鎖骨の変形障害につき後遺障害として認定を受けるためには、医師が被害者の体幹骨に変形がある旨を診断する必要があります。
そこで、当事務所では、主治医より後遺障害診断書の修正をして頂いた上で、被害者請求手続により、後遺障害の申請をしました。
その結果、右鎖骨の変形障害につき第12級5号、右肩関節の機能障害につき第12級6号に該当し、併合第11級に認定されました。
その後、裁判基準に基づいて損害額を積算して保険会社と賠償交渉を開始し、任意交渉にて解決しました。
示談交渉
保険会社は、当初、逸失利益について、右鎖骨の変形障害により家事に対して支障が生ずるとは考え難いとして、右肩関節の機能障害のみ労働能力喪失率として評価すると主張しました。
その上で、保険会社は、後遺障害への馴化等を考慮し、当初20年につき第12級相当の14%、その後20年につき10%と、労働能力喪失率を逓減させるべきとし、逸失利益約780万円と主張しました。
しかし、今回のケースでは、被害者は骨折部位に疼痛等の症状を残しており、この場合には、家事に対する支障が生じると言えますので、単に、鎖骨の変形障害であるからと言って、労働能力への支障を一切考慮しないというのは妥当ではありません。
また、右肩関節の機能障害は、ムチウチ等の神経症状と異なり、症状への馴化は通常考えられませんので、労働能力喪失率を逓減させることも妥当ではありません。
そこで、当事務所では、これらの点を主張して賠償交渉を継続し、最終的に、逸失利益約1130万円との認定を受けました。
その結果、賠償額は、保険会社の当初の提示額約1160万円から、最終受領額1500万円に増額しました。
受任前提示金額、解決金額
受任前提示なし、
最終受領額約1830万円(自賠責保険金331万円を含みます。)
鎖骨骨折と後遺障害
鎖骨骨折は、骨折部位により、近位端骨折、骨幹部骨折、遠位端骨折に区分されます。
骨幹部骨折では、鎖骨バンド固定等による保存療法が一般的ですが、神経障害・循環障害が生じている場合には、手術となることもあります。遠位端骨折では、手術が選択される場合が多いです。
鎖骨骨折では、骨折部位が転位して癒合する場合があり、裸体になって分かる程度の変形は、「鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの」として第12級5号に認定されます。
また、遠位端骨折など、骨折部位が肩鎖関節に近い場合には、肩関節に機能障害を残す場合があり、健側の肩関節の可動域と比較して、2分の1以下に制限される場合は第10級10号、4分の3以下に制限される場合は第12級6号に認定されます。また、鎖骨の変形障害と肩関節の機能障害が、いずれも後遺障害として認定される場合は、両者は併合して評価されます。
今回のケースでは、当初、主治医より記入して頂いた後遺障害診断書では、体幹骨の変形に関する記載が漏れていたことから、この点を適切に修正することで、肩関節の機能障害のほか、鎖骨の変形障害も後遺障害として適切に認定されることができました。
なお、骨折部位に疼痛等の症状を残す場合、これは、変形障害や機能障害に含めて評価されることとなります。
鎖骨骨折と後遺障害については、当事務所のホームページでも詳細に解説していますので、是非ご一読頂ければと思います。鎖骨骨折と後遺障害について
右鎖骨骨折の傷害を負った被害者について、右鎖骨の変形障害につき第12級5号、右肩関節の機能障害につき第12級6号に該当し、併合第11級に認定されました。
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