60 顔面部に第7級12号の醜状障害を残した女性会社員について、逸失利益が認められた事案
後遺障害等級7級12号 :顔の障害 / 顔面線状痕・瘢痕・挫創 、40代女性、会社員
顔面部に第7級12号の醜状障害を残した女性会社員について、逸失利益が認められた事案です。


保険会社提示額 | - 万円 |
増加額 | - 万円 |
交通事故状況
青信号に従い横断歩道上を歩行中、対向方向より右折してきた車両に衝突され、頚椎捻挫、腰椎捻挫及び顔面擦過創等の傷害を負いました。
ご依頼者のご要望
ご依頼者は、治療中にご相談に来られ、後遺障害として適切な認定を受けること等をご希望されていました。
受任から解決まで
受任後、後遺障害の認定に向けたサポートを実施しました。
被害者の方は、顔面部に醜状痕を残しており、後遺障害の申請に際して、面接調査が実施されました。面接調査には、当事務所の弁護士が同席し、適切な計測等が実施されているかを確認しました。
その結果、第7級12号が認定されたことから、保険会社と賠償交渉を開始し、任意交渉にて解決しました。
示談交渉
保険会社は、当初、逸失利益のうち労働能力喪失率を5%とし、賠償総額約290万円と主張しました。
被害者の職務は、電話オペレーターの責任者であり、人と接する場面が少ないことから、保険会社は、この点を捉えて、職務への影響は限定的であるとして労働能力喪失率を控えめに主張したのです。
しかし、仮に、現在の職務では、人と接する場面が少ないとしても、対人関係が多い部署に異動する可能性もありますし、顔面部に醜状痕があると、転職に際して職業選択の幅が制限される可能性もあります。
そこで、当事務所では、このような醜状障害による職務上の支障を主張して、労働能力喪失率を巡り賠償交渉を継続し、最終的に、労働能力喪失期間を第12級相当の14%との認定を受けることができました。
その結果、賠償額は、保険会社の当初の提示額約290万円から、最終受領額600万円に増額しました。
受任前提示金額、解決金額
受任前提示なし
最終受領額1650万円(自賠責保険金1051万円を含みます。)
外貌醜状の認定基準
外貌とは、上肢、下肢以外の頭部、顔面部,頚部など、日常露出する部分のことを言います。
従来、外貌醜状の認定基準は、女性よりも男性の方が等級が低く定められていました。
しかし、平成23年5月2日に施行された自賠法施行令により、平成22年6月10日以降に発生した交通事故については、障害の程度に応じて、男女共に同一の等級として評価されることとなりました。
改正後の認定基準は、「外貌に著しい醜状を残すもの」は第7級12号、「外貌に相当程度の醜状を残すもの」は第9級16号、「外貌に醜状を残すもの」は第12級14号に該当すると規定しています。
ここで、顔面部に関する各等級の認定基準を見ると、第7級12号は鶏卵大面以上の瘢痕又は10円銅貨大以上の組織陥没があること、第9級16号は顔面部に長さ5cm以上の線状痕があること、第12級14号は顔面部に10円銅貨大以上の瘢痕又は長さ3cm以上の線状痕があることが要件とされています。
今回のケースでは、被害者は、事故により右顔面打撲傷及び顔面擦過創の傷害を負い、右頬部に「顔面炎症後色素沈着」を残しており、当該色素沈着が第7級12号の要件を満たすかどうかがポイントとなりました。
そして,醜状障害の認定に当たっては、調査事務所による面接調査が実施されますが、当事務所の弁護士が面接調査に同席し、「顔面炎症後色素沈着」がある部分を適切に計測してもらい、その結果、被害者の顔面部に鶏卵大面以上の瘢痕があるとして第7級12号が認定されました。
このように、第7級12号に該当するには、組織陥没に限られず、鶏卵大面以上の瘢痕も含まれるほか、色素沈着も瘢痕と評価されます。
なお、面接調査に当たっては、醜状が適切に計測されないことが往々にして起こり得ます。
そのため、当事務所では、面接調査が実施される場合には、原則として、全ての事案において、弁護士が面接調査に同席し、適切な計測が行われているかを確認するようにしています。
もし、お顔やお体の傷が後遺障害として認定されるかご不安のある場合など、お困りのことがございましたら、当事務所までご相談ください。
労働能力喪失率
逸失利益は、「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」で算出されます。
このうち、労働能力喪失率とは、後遺障害による職務に対する支障を数値で表したものです。労働能力喪失率は、通常、後遺障害等級認定表に記載される基準数値の通り認定されますが、後遺障害の内容によっては、基準数値よりも低い労働能力喪失率が認定されたり、逸失利益自体が認められない場合もあります。
このように、逸失利益が争点となる後遺障害の1つに、醜状障害があります。
この点、顔面部に醜状障害が残った場合、被害者の方の職務内容が、モデルやホテルのフロントなど、一般的に外貌が重視される職務の場合には、逸失利益が認められやすいと言えます。
他方で、今回のケースの被害者の方のように、電話オペレーターの責任者など、人と接する場面が少ない場合には、保険会社は、醜状障害が職務上不利益に働くことはないとして、労働能力喪失率を控えめに主張したり、逸失利益自体を否認することもあります。
しかし、先ほども述べた通り、今後、対人関係が多い部署に異動する可能性がありますし、転職に際しても職業選択の幅が制限される可能性があるなど、醜状障害が不利益に働く可能性は十分あり得ます。
そのため、この点を損害として適切に認めてもらうべく、賠償交渉を継続する必要があります。
このように、醜状障害は、逸失利益を巡り紛争化することが多い後遺障害の1つですので,保険会社と賠償交渉中である場合など、お困りのことがございましたら、一度当事務所までご相談ください。


ご依頼者のご職業は、お客様と対面することが少ない電話オペレーターの責任者でしたが、逸失利益が認められました。