頸椎捻挫(ムチウチ)・腰椎捻挫 の解決事例

4 主婦の後遺障害逸失利益について、全年齢の平均賃金基準で示談解決

頸椎捻挫(ムチウチ)・腰椎捻挫

後遺障害等級後遺障害別等級14級9号 :頸椎捻挫(ムチウチ)・腰椎捻挫 、60代女性、主婦

神経症状
主婦の方の後遺障害逸失利益の算定にあたって、当方の請求のとおり、全年齢の平均賃金にて算出することができました。

  460
万円
保険会社提示額 305 万円
増加額 155 万円

相談内容

自動車運転中の事故。信号待ちで停車していたところ、加害車両が被害車両に追突。過失割合は、相手方100%の事案です。

○○県の地方出張相談会でご相談を受けた被害者の方です。

ご相談を受けた際、被害者の方は、「昨年に保険会社を通じて後遺障害の申請をしました。しかし、それ以降、保険会社からは何の連絡もありません。後遺障害が認定されているかも分かりません。」と話されていました。
被害者の方は、後遺障害の申請をしてから約1年経っても保険会社から何の連絡も受けておらず、保険会社から放置されてしまっていたようでした。

被害者の方からご依頼を受けた後、当職にて、まずは後遺障害の手続きがどこまで進んでいるのかを確認しました。
すると、被害者の方には既に第14級9号が認定されていたことが分かりました。
当職から被害者の方にその旨をお伝えしたところ、被害者の方はとても驚いておられました。

第14級9号が認定されていることが確認できた後、被害者の方のためにできるだけ早期に解決すべく、請求額を積算して賠償請求に着手しました。

今回の争点は、主に以下の3点でした。

1 主婦の休業損害
休業損害とは、事故により仕事や家事を休まざるを得なかった場合の損害です。

2 主婦の後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益とは、事故後に後遺障害が残った場合に、労働能力の減少によって将来発生すると認められる収入の減少のことをいいます。

3 後遺症慰謝料
交通事故の被害者が後遺障害をもたらす傷害を負った場合には、そのこと自体に対し慰謝料を請求することができ、この場合の慰謝料を後遺障害慰謝料といいます。

 

休業損害の問題

被害者が事故の怪我により家事への支障が生じていることを、具体的かつ詳細に主張しました。

主婦の休業損害の算出方式として、段階的に家事への支障が低下することを前提に(いわゆる逓減法)、全通院期間を対象として休業損害を主張しました。

計算式 [逓減法による主婦の休業損害]

1.基礎収入 9,751円/日   主婦(賃金センサス平成23年・女性・学歴計・全年齢平均)

  3,559,000円÷365日=9,751円/日  

2.休業日数 599日   (事故日から症状固定日までの実日数)

3.計算式

日額9,751円×50日×1.00=487,550円(事故日から最初の50日は労働喪失率100%)

日額9,751円×50日×0.60=292,530円(51日から100日目までは労働喪失率60%)

日額9,751円×200日×0.40=780,080円(101日から200日目までは労働喪失率40%)

日額9,751円×299日×0.20=583,110円(201日から299日目までは労働喪失率20%)

計 2,143,270円

※今回のケースでは、事故から症状固定まで長期間であるため、逓減率等を適宜修正して計算しました。

相手方の提示額約120万円   →  解決額約150万円

後遺障害逸失利益の問題

休業損害と同様に、家事への具体的な支障を主張しました。

一般的に、交通事故の被害者の方のご年齢が60代後半以上の場合、主婦としての休業損害及び後遺障害逸失利益の算定にあたっては、基礎収入について、全年齢の平均賃金ではなく、それよりも低い年齢別の平均賃金が採用される傾向にあります。

しかし、今回のケースでは、交渉の結果、後遺障害逸失利益の算定にあたっては、当方の請求のとおり、全年齢の平均賃金にて算出することができました。

逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間 =3,559,000円×5%×4.3295(ライプニッツ係数(5年)) =770,435円

相手方の提示額約40万円→  解決額77万円(裁判基準)

後遺障害慰謝料の問題

後遺障害慰謝料については、裁判基準である110万円で解決しました。

相手方の提示額約45万円→  解決額約110万円(裁判基準)

示談内容

受任前の保険会社の提示はありませんでした。保険会社の1度目の提示は、次のとおり、裁判基準と比較して、不十分な金額でした。

   

受任前保険会社提示額    受領総額 約305万円
             
解決額          受領総額 約460万円 (155万円の増額)

内訳(抜粋)
休業損害     約120万円   →  150万円   

後遺障害逸失利益  約40万円   →  約77万円(裁判基準)   

後遺障害慰謝料   約45万円   →   110万円(裁判基準)   

相談から解決までの期間

約2ヶ月(任意交渉による解決)

担当弁護士のコメント 担当弁護士のコメント

今回のケースでは、被害者の方のご年齢は、60代後半でした。一般的に、交通事故の被害者の方のご年齢が60代後半以上の場合、主婦としての休業損害及び後遺障害逸失利益の算定にあたっては、基礎収入について、全年齢の平均賃金ではなく、それよりも低い年齢別の平均賃金が採用される傾向にあります。

しかし、今回のケースでは、交渉の結果、後遺障害逸失利益の算定にあたっては、当方の請求のとおり、全年齢の平均賃金にて算出することができた点で、良い解決ができたと思います。

また、今回のケースでは、保険会社から約1年もの間放置されていた被害者の方について、ご依頼を頂いた後に約2ヶ月で解決まで至ることができた点も、非常に良かったと思います。

被害者の方もとても満足しておられました。

○○さん、1日でも早く症状が改善されることを祈っております。良い年末年始をお迎えください。

主婦の方の休業損害について、詳しくはコチラ

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