28 鎖骨の変形障害により第12級5号、最終受取額約830万円にて解決した事案
後遺障害等級後遺障害別等級12級~13級5号 :肩鎖関節脱臼 / 鎖骨・胸骨・肋骨・骨盤骨・臓器の障害 、40代男性、会社員
変形障害
鎖骨の変形障害として第12級5号が認定された40代男性会社員の逸失利益について、保険会社提示額の約400万円から約650万円へ増額した事案(最終受領額について、保険会社提示額約510万円から約830万円へ増額)です。
保険会社提示額 | 510 万円 |
増加額 | 320 万円 |
事故状況
交差点を四輪車で直進進行中、左方より直進進行してきた四輪車に衝突されました(右肩鎖関節脱臼等)。
ご要望
後遺障害の認定に向けたサポートを受けること(※)、適切な賠償金額を受領することを希望されておりました。
※当事務所では、後遺障害の専門スタッフが被害者の方とご一緒に病院に同行する等して、適切な後遺障害の認定を得られるようサポートを行っております。
後遺障害等級認定
被害者請求により、第12級5号が認定されました。
示談交渉
相手方保険会社は、傷害慰謝料約90万円、後遺障害慰謝料240万円と、慰謝料について、それぞれ保険会社基準の提示をしました。
また、相手方保険会社は、鎖骨の変形障害(第12級5号)の逸失利益について、約400万円(労働能力喪失率10%、労働能力喪失期間10年)を提示しました。
そこで、弁護士が交通事故紛争処理センターへと申立てをし、傷害慰謝料約100万円、後遺障害慰謝料290万円、逸失利益約650万円(労働能力喪失率14%、労働能力喪失期間10年)へ増額しました。
その結果、当初保険会社提示額約510万円を、約830万円へ増額しました。
鎖骨の変形障害と逸失利益
鎖骨の変形障害して第12級5号が認定された場合、後遺障害逸失利益が争点となることが多いです。
これは、例えば今回のケースのように被害者の方が会社員の場合、モデル等の仕事とは異なり、仕事をする上で他人に鎖骨を見られることは想定されないため、鎖骨が変形したことによる仕事への支障はないとも考え得るためです。
しかし、「変形障害であるから逸失利益は認められない」と考えるのは余りに短絡的です。
鎖骨の変形障害の場合には、①変形障害のみ残存する場合、②変形障害に加え、変形部分に痛み等の神経症状が残存する場合、③変形障害に加え、肩関節の運動障害が残存する場合の、3パターンに分けて考える必要があります。
このうち、②及び③のパターンでは、痛みや運動障害が職務への支障となり得るため、裁判実務上においても、後遺障害逸失利益が認められる傾向にあります。
もっとも、②及び③のパターンにおいても、逸失利益(特に労働能力喪失率)を算出するにあたっては、後遺障害による職務への支障等を具体的に主張することが重要です。
今回のケースでは、被害者の方には、右鎖骨の変形障害の他にも、右肩関節の運動時痛及び運動障害が残存していました(上記②③パターン)。
そこで、交通事故紛争処理センターにおいて、被害者の方の職務は肉体労働的側面が強いことを具体的に説明し、右肩関節の運動時痛及び運動障害による職務への支障を具体的に主張立証することで、最終的に労働能力喪失率14%、労働能力喪失期間10年にて解決することができました。
【交通事故賠償項目】後遺障害逸失利益(後遺症による逸失利益)
交通事故紛争処理センターへと申立てをすることで、訴訟提起することなく、低い保険会社の主張(第12級の労働能力喪失率10%)から本来得られるべき裁判基準(同14%)へ増額できました。