17 正社員の兼業主婦について、主婦の休業損害として280万円で示談解決
後遺障害等級後遺障害別等級14級9号 :頸椎捻挫(ムチウチ)・腰椎捻挫 、50代女性、正社員かつ主婦
くびの神経症状(むち打ち)
被害者は給与所得者の兼業主婦で、事故後も事故前とほぼ同等の収入を得ていました。相手方保険会社は被害者がパート・アルバイトではないことを理由に、主婦として家事ができなった損害(主婦としての休業損害)を支払うことは出来ないと拒否していました。
しかし、最終的に休業損害60万円にて解決することができました。
保険会社提示額 | 180 万円 |
増加額 | 100 万円 |
相談内容
幣事務所にご相談来られた被害者の方です。
ご相談に来られた際、被害者の方は治療中だったのですが、神経症状等が残っていたため、後遺障害に該当する見込み等についてご説明いたしました。
その後、被害者の方から正式に受任し、私たちが後遺障害認定手続きを代理、被害者請求により後遺障害の申請をし、第14級9号が認定されため、賠償請求に着手しました。
賠償交渉
後遺障害の申請後、第14級9号が認定されたことを受け、裁判基準に基づく請求額を確定させて、保険会社に対し賠償請求しました。
その後、約1ヵ月程度で保険会社から賠償金額案の回答がありました。
保険会社の提示は、傷害慰謝料として90万円、後遺傷害慰謝料として約90万円といずれも裁判基準ではありませんでした。
また、休業損害については0円という内容でした。
相手方保険会社の主張
「被害者の方は給与所得者であり、パート・アルバイトではないので、主婦としての休業損害を支払うことはできません」
正社員は主婦としての休業損害を認められないのか
いわゆる赤い本(民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準上巻(基準編))には、
「パートタイマー、内職等の兼業主婦については、現実の収入額と女性労働者の平均賃金額のいずれか高い方を基礎として算出する」と記載されています。
保険会社は、この「パートタイマー、内職等」という記載を根拠に、「給与所得者(正社員)」は主婦としての休業損害の対象外であると主張していました。
しかし、裁判例では、兼業主婦の方がパートタイマー・内職もしくは給与所得者のいずれであったとしても、家事労働への具体的な支障が生じている場合には、主婦としての休業損害が認められています。
赤い本に記載がないという保険会社の主張は、やはり妥当とはいえません。
そこで、当方は、このような裁判例の考え方等を根拠として、主婦としての休業損害を認めるよう交渉しました。
その後、保険会社から約30万円の休業損害を認めるとの提示がありましたが、被害者の方に現実に生じていた支障を適切に賠償するには不十分でした。
交通事故紛争処理センターへの申立て
交通事故紛争処理センターへと申立てをし、被害者の方の家事労働への具体的な支障を主張し、最終的に約60万円の休業損害の賠償を受けることができました。
傷害慰謝料及び後遺傷害慰謝料についても、いずれも裁判基準での解決となっています。
示談内容
受任後保険会社提示額 180万円
⇓
解決額 受領総額 約280万円
【内訳(抜粋)】
休業損害 約0円(受任後)→約60万円(解決額)
傷害慰謝料 約90万円(受任後)→約110万円(解決額)
後遺障害慰謝料 約88万円(受任後)→約110万円(解決額)
相談から解決までの期間
約6ヶ月(交通事故紛争処理センターによる解決)
交通事故の場合に、主婦としての休業損害が請求できることについては、あまり知られていないように思います。
また、金額がやや高額となる傾向にあるため、保険会社の担当者が事前にその旨を教えてくれるケースはあまり多くありません。
適切な賠償を受けるためにも、交通事故の被害に遭われた場合には、弁護士に相談されることをご検討ください。
当事務所では、事故直後の方から後遺障害認定後の方まで、常に広くご相談を承っておりますので、いつでもご連絡ください(初回相談は無料です)。