脊柱(頸椎・胸椎・腰椎)と脊髄の障害 / 脊髄損傷、中心性頸髄損傷 / 頚椎脱臼骨折 の解決事例

72 第1級1号の70代女性の被害者について、平均余命までの介護費用を含めて最終支払額約6500万円にて解決した事案

脊柱(頸椎・胸椎・腰椎)と脊髄の障害脊髄損傷、中心性頸髄損傷頚椎脱臼骨折

後遺障害等級後遺障害別等級1級~3級1号 :脊柱(頸椎・胸椎・腰椎)と脊髄の障害 / 脊髄損傷、中心性頸髄損傷 / 頚椎脱臼骨折 、70代女性、主婦

脊髄損傷
第1級1号の70代女性の被害者について、
平均余命までの介護費用を含めて最終支払額約6500万円にて解決した事案です。

  6,500
万円
保険会社提示額 - 万円
増加額 - 万円

交通事故状況

被害者は、自動車に同乗していたところ、交差点内で他の自動車と出合い頭に衝突し、その衝撃により、近隣住宅の外壁に衝突し、頚椎脱臼骨折及び脊髄損傷等の傷害を負いました。

ご依頼者のご要望

被害者のご家族がご相談に来られ、適切な後遺障害等級が認定されること等のご要望を有しておられました。

受任から解決まで

当事務所にて受任後、当事務所のスタッフが被害者の通院に同行し、主治医より、「後遺障害診断書」のほか、「脊髄症状判定用」、「脳損傷又はせき髄損傷による障害の状態に関する意見書」を取り付けた上で、被害者請求により後遺障害の申請をしました。

その結果、第1級1号が認定されたことから、裁判基準に基づいて損害額を算出し、保険会社との間で賠償交渉を開始しました。

しかし、保険会社は、平均余命分の介護費を否認するなど、妥当な賠償金額が提示されなかったことから、交通事故紛争処理センターへ申立てをしました。そして、交通事故紛争処理センターの斡旋案にて、平均余命までの介護費が認定されたこと等から、約6500万円にて解決しました。

脊髄損傷

脊髄損傷の場合には、損傷した脊髄の髄節が支配する領域以下に神経脱落症状が出現します。

脊髄損傷の診断に当たっては、徒手筋力テスト及び感覚テストによる高位診断や反射のほか、脊髄の形態変化や髄内信号の変化・範囲を把握するため、MRIを撮影して画像診断を行うことが重要とされています。

また、脊髄損傷は、中枢神経系の障害として分類されており、脊髄損傷の後遺障害等級は、麻痺の範囲(四肢麻痺・片麻痺・対麻痺・単麻痺)や程度(高度・中等度・軽度)、介護の有無・程度により、自賠法施行令別表第一の第1級から同別表第二の第12級まで、7段階に分かれて認定されます。

本件では、被害者に常時介護が必要であることを裏付けるため、「後遺障害診断書」に加え、「脊髄症状判定用」を取り付けて被害者の運動機能や日常生活に関する様子を明らかにしたほか、「脳損傷又はせき髄損傷による障害の状態に関する意見書」を取り付けて麻痺の範囲・程度に加え、食事・入浴等に介護が必要であることを明らかにした上で、後遺障害の申請をしました。

その結果、自賠責保険は、「両下肢は完全麻痺を呈しており、膀胱直腸障害も認められることから、これらの障害のために生命維持に必要な身のまわりの処理の動作について、常に他人の介護が必要なものと捉え」として、別表第一の第1級1号と認定しました。

当事務所では、適切な後遺障害等級の認定を受けるため、事案に応じて、当事務所のスタッフが被害者の通院に同行して各診断書の取付け等をするサポートも実施しておりますので、後遺障害の認定等に関してご不安のある場合には、一度、弁護士までご相談下さい。

介護費

被害者に残存した後遺障害の内容及び程度によっては、被害者が日常生活上必要とされる動作を自力で行うことができないことから、将来に亘り付添人による介護を受ける必要性が認められる場合があり、このような場合には、介護費を損害として請求することが可能となります。

自賠法施行令別表においては、別表第1の第1級及び第2級が介護を要する障害として定められていますが、実務上は、第3級以下に該当する後遺障害であっても、後遺障害の内容及び程度によっては、介護費が損害として認められます。

介護費は、「日額×365日×介護の期間の年数(平均余命)に対応するライプニッツ係数」により算出されます。

この点、介護費の日額は、施設介護とするか、もしくは、在宅介護とするか、在宅介護にするとしても、近親者により介護を行うか、もしくは、職業付添人により介護を行うか等により、事案に応じて金額が異なります。

本件では、被害者及び配偶者が高齢であり、近親者による介護を行うことは困難であったこと、施設介護をご希望されていたこと等の事情を踏まえ、施設介護に要する費用を損害として請求し、月額利用料金約13万円を前提として、平均余命分の介護費が認められました。

介護費について、保険会社は、日額を低く認定したり、平均余命までの介護期間を否認するなど、実務上、適切な損害額を巡って争点となることが多いため、被害者としては、介護の主体、介護の内容、介護のための必要な時間等を詳細に主張立証する必要があります。

もし、重篤な後遺障害を残しており、ご家族による付添いが必要な状態にある方等がおられましたら、賠償交渉に際しては、一度、弁護士までご相談されることをお勧め致します。