政府保障事業とは【コラム】
自動車損害賠償保障法5条は、「自動車は、これについてこの法律で定める自動車損害賠償責任保険(以下「責任保険」という。)又は自動車損害賠償責任共済(以下「責任共済」という。)の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない。」と規定しており、自賠責保険への加入を義務付けています(適用除外車を除きます。)。
しかし、万が一、加害車両に自賠責保険が付されていない場合には、被害者は、自賠責保険から支払いを受けることができません(加害者に損害賠償を請求することはできますが、加害者に十分な資力があるとは限りません。)。
また、ひき逃げ事故など、加害者が誰であるか不明である場合も同様です。
そこで、自動車損害賠償法71条は、「政府は、この法律の規定により、自動車損害賠償保障事業を行う。」と規定しており、政府が、無保険車やひき逃げ事故による被害者を保護することとしています。
これを、「政府保障事業」と言います。
もっとも、政府保障事業は、他の手段により被害者の救済が図られない場合の最終的な救済方法です。
そのため、労働者災害補償保険法、健康保険法、その他政令で定める法令による給付を受けられる場合は、政府保障事業による救済を受けることができなかったり、支給額が調整される場合があります。
なお、政府は、政府保障事業の業務のうち、損害補填額の決定以外の支払請求の受理、損害填補金の支払等の業務を、保険会社に委託しています。
そのため、政府保障事業へ損害の填補を請求する場合は、政府が委託している保険会社が窓口となります。
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