交通事故の際の慰謝料の請求には内容証明が必要【コラム】
交通事故被害に関する慰謝料等の損害賠償請求において、内容証明郵便を利用する場合についてご説明します。
内容証明郵便とは、日本郵便株式会社が、一般書留郵便物の内容文書を証明するサービスのことであり、いつ、いかなる内容の文書を誰から誰宛に差し出されたかとういうことを、差出人が作成した謄本によって同社が証明する制度をいいます(日本郵便株式会社のホームページより引用)。
加害者がいわゆる任意保険に加入している場合、被害者は加害者側の保険会社との間で、慰謝料等の損害賠償額について交渉します。
このような場合、通常、被害者は保険会社から損害賠償額の計算書等を受領し、示談するかどうか検討するため、被害者から加害者側に対して内容証明郵便を発送する必要性は乏しいといえます。
他方で、加害者が任意保険に加入していない場合、加害者本人が、自賠責を超える損害について賠償金を支払うことになります。
ただし、加害者本人が損害賠償金の支払いに応じない場合、訴訟を提起せざるを得ないことがあります。
訴訟提起にあたり、訴訟までの交渉経緯について、訴状で説明することがあります。
これを念頭に、任意交渉において、被害者から加害者本人に対し、内容用証明郵便で慰謝料等の損害賠償金を請求し、後に訴訟提起する場合、その内容証明郵便を証拠として提出して、訴訟に至るまでの交渉経過を証明することがあります。
このほか、消滅時効の成立を回避するために、「催告」(民法153条)として、内容証明郵便を利用する場合があります。
民法153条は、「催告は、6箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法若しくは家事審判法 による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。」と規定しています。
つまり、「催告」を行い、この「催促」から6ヶ月以内に訴訟提起することで、消滅時効は成立しないこととなります。
民法上の消滅時効の成立が間近であり、加害者側が消滅時効を援用する可能性がある場合には、加害者本人に対して配達証明付き内容証明郵便で損害賠償請求書面を発送することがあります。
この内容証明郵便から6ヶ月以内に訴訟提起することで、消滅時効は成立しません。
なお、「催促」は、必ずしも内容証明郵便によることを要しませんが、後に訴訟において、内容証明郵便及び配達証明書を証拠として提出することで、加害者本人に対する損害賠償請求書面の到達及び到達年月日等を証明することが容易になります。
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