自動車事故のトラブルを調停で話し合う【コラム】
交通事故被害に遭ってしまった場合、被害者は、加害者(加害者側の保険会社)との間で、慰謝料等の損害について交渉し、示談等を行い、解決します。
交通事故に関する損害賠償について解決する方法についてご説明します。
第一に、任意交渉(示談交渉)です。
これは、被害者が加害者(加害者側の保険会社)との間で直接交渉を行い、一般に、保険会社が作成する承諾書(免責証書)と呼ばれる書類に署名捺印することで、損害賠償額について合意(示談)する方法です。
被害者が弁護士へ依頼した場合には、慰謝料等について、任意交渉でもいわゆる裁判基準で解決できることがあります。しかし、被害者本人が交渉する場合には、保険会社は、裁判基準より低い保険会社基準で慰謝料等を算出することが多いようです。
第二に、裁判所以外の紛争解決機関を利用する方法です。
代表的な紛争解決機関として、公益財団法人交通事故紛争処理センター、公益財団法人日弁連交通事故相談センターがあります。
これらの紛争解決機関では、各センターから嘱託された弁護士等が、被害者及び加害者(加害者側の保険会社)双方の主張を考慮して、損害賠償額を提案し、解決をあっせんします。
特に、公益財団法人交通事故紛争処理センターは、慰謝料等について、いわゆる裁判基準で解決を図るほか、同センターの審査会の判断は、保険会社に対する事実上の拘束力を有するとされます。
このため、任意交渉において、加害者側保険会社が裁判基準での慰謝料等の金額に合意しない場合には、同センターは有効な解決方法になります。
第三に、裁判所による調停があります。
ただし、調停では、両当事者が損害額に合意しない限り、調停は成立せず、また前記公益財団法人交通事故紛争処理センターのような保険会社に対する拘束力を有しません。
このため、保険会社が、慰謝料等について、いわゆる裁判基準での解決に合意しない場合には、調停は有効な方法とはいえません。
最後に、訴訟です。訴訟を提起することで、慰謝料等について、いわゆる裁判基準で算出されます。
また、判決では、通常、(1)今後受領する金額の10%相当の弁護士費用相当損害金、(2)交通事故日から支払日まで年5%の遅延損害金が追加で認められます。裁判上の和解の場合、前記(1)及び(2)について満額でないことが多いですが、調整金として考慮されます。
ただし、訴訟のデメリットとして、訴訟提起から解決まで2年程度要する場合がある、被害者本人に書面の確認等の負担が生じる点があげられます。
以上、4つの解決方法をご説明しましたが、いずれの解決方法が適しているかどうかは、個別事情を考慮して、事案ごとに検討する必要があります。
解決方法についてお悩みの場合、交通事故に詳しい弁護士へご相談されてはいかがでしょうか。
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