物損事故の賠償問題【コラム】
物損事故とは、車両に関する損害を言います。
交通事故証明書上に「物件損害」と記載されていても、実際はケガをされている場合には、賠償上は人身事故として扱われるのが通常です。
この点、自動車損害賠償保障法第3条は、「その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる」として、「生命又は身体を害したとき」という限定を付しているため、被害車両の修理代等の物損は、自賠責保険ではカバーされません。
もっとも、例えば、義眼や義歯など、身体の一部を代行するものについては、自賠責保険でカバーされると考えられています。
そのため、修理費等の物損は、自賠責保険ではなく、加害者が加入している任意保険に対して請求することが一般的です。
もっとも、加害者が任意保険に加入していない場合には、修理費等の物損は、加害者本人に請求したり、被害者自身の車両保険を利用する等の方法を取らなければなりません。
前者の場合には、加害者に十分な資力があるかどうか不明であること、後者の場合には、保険料が上がってしまう可能性があることなど、いずれも難しい問題があります。
また、物損でよく問題となることの1つに、評価損があります。交通事故により評価損が発生したと認められるかどうか、認められるとして損害額をどう評価するのかが問題となります。この点については、損傷箇所、登録年度、走行距離等を総合考慮して評価損が発生したかどうか判断する必要がありますが、評価損が発生したと認められるとしても、修理費の一定割合を目安として損害を認定することが多いように思います。
なお、評価額を裏付ける証拠として、事故減価額証明書を提出することも1つの有用な方法と思われます。
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