6 14級9号から12級13号への異議申立が認められた事案
後遺障害等級後遺障害別等級12級~13級13号 :脊柱(頸椎・胸椎・腰椎)と脊髄の障害 、50代男性、会社員
第7頸椎骨折
当初14級9号が認定されていましたが,画像所見から12級13号が相当であると異議申し立てをし,認められました。
保険会社提示額 | 510 万円 |
増加額 | 510 万円 |
相談内容
歩行中の交通事故。被害者が歩道ではなく道路の左端を歩行していたところ、被害者の発見に遅れた加害車両が、被害者に衝突。過失割合は、相手方100%の事案です。
○○県の地方出張相談会でご相談を受けた被害者の方です。
ご相談を受けた際、被害者の方は、既に第14級9号が認定されていました。しかし、被害者の方は今回の交通事故により第7頚椎骨折という重大なお怪我をされたことに加え、後遺障害の認定手続きが事前認定(保険会社を通じた後遺障害の認定手続き)であったことから、被害者に残ってしまった後遺障害が適切に評価されていない可能性がありました。
そこで、ご相談を受けた際に被害者の方にその旨をご説明し、ご依頼を受けた後、異議申立てに着手しました。
異議申立てにあたっては、被害者の方の頚椎の画像を丹念にチェックし、第7頚椎の骨折を示す画像を証拠として提出しました。その結果、第12級13号が認定されたため、請求額を積算して賠償請求に着手しました。
異議申立
被害者の方は、事前認定(保険会社を通じた後遺障害の認定手続き)で第14級9号が認定されていました。しかし、被害者の方は事故により第7頚椎骨折という重大な傷害を負っており、第14級9号という等級は妥当でないとして、第12級13号へ該当する旨の異議申立てを行いました。
異議申立てにあたっては、頚椎の画像を精査し、第7頚椎の骨折を示す画像を証拠として提出しました。
後遺障害逸失利益の問題
仕事への具体的な支障を訴えることで、就労可能年齢の終期とされる67歳までの12年を前提として逸失利益を算出することができました。
示談内容
受任前の保険会社の提示は、第14級9号を前提としており、今後支払額は約140万円でした。
その後、第12級13号が認定された後の保険会社の提示は、次のとおり、裁判基準と比較して不十分な金額でした。
受任後保険会社提示額 受領総額 約510万円
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解決額 受領総額 約1020万円
内訳(抜粋)
1.傷害慰謝料 約80万円 → 約120万円
2.後遺障害逸失利益 約410万円 → 約830万円
3.後遺障害慰謝料 約240万円 → 290万円
相談から解決までの期間
約9ヶ月(異議申立て含む。財団法人交通事故紛争処理センターによる解決)
受任後、裁判基準に基づく請求額を確定させて、保険会社に対して賠償請求しました。その後、1ヶ月程度で保険会社から賠償金額案の回答がありました。
保険会社の提示した金額は、今後支払額約510万円と低く、特に、傷害慰謝料及び後遺障害慰謝料を保険会社基準で算出しているほか、後遺障害逸失利益の算出にあたっては労働能力喪失期間を5年としていました。
その後、保険会社と増額交渉をしたのですが、保険会社が増額に応じなかったため、財団法人交通事故紛争処理センターへと申立てをしました。
その結果、今後支払額約1020万円にて解決することができました。
内訳としては、傷害慰謝料として約120万円、後遺症逸失利益として約830万円、後遺症慰謝料として290万円と、いずれも裁判基準での金額です。
今回のケースでは、被害者の方の後遺障害が第14級9号と不当に低く評価されていたものを、第7頚椎の骨折を示す画像を証拠として提出して異議申立をして、第12級13号が認定された点で、とてもよい解決ができたと思います。
また、後遺障害逸失利益については、労働能力喪失期間を12年として算出して解決することができました。一般的に、後遺障害として第12級13号が認定された場合には、労働能力喪失期間が10年に制限されてしまうことが多いのですが、今回のケースでは、被害者が重大なお怪我を負っており、仕事への具体的な支障を訴えることで、就労可能年齢の終期とされる67歳までの12年を前提として逸失利益を算出することができた点も、非常に良い結果であったと思います。
○○さんも満足しておられ、とても嬉しく思います。○○さん、どうぞお体をお大事になさってください。良い年末年始をお迎えください。
交通事故の被害に遭われて後遺障害が認定された場合、認定された後遺障害の等級が妥当かどうかを検討する必要があります。もし、事故後に残ってしまった障害が適切に評価されていないとお感じになる場合には、一度、弁護士等の専門家にご相談されてはいかがでしょうか。