12 後遺障害逸失利益について、裁判基準(40万→80万)で示談解決
後遺障害等級併合後遺障害別等級14級 :頸椎捻挫(ムチウチ)・腰椎捻挫 、20代女性、会社員
神経症状
後遺障害逸失利益について、裁判基準で解決することができました。
保険会社提示額 | 200 万円 |
増加額 | 50 万円 |
相談内容
自動車運転中の事故。被害車両が信号待ちのため停車していたところ,加害車両が追突。過失割合は,相手方100%の事案です。
幣事務所にご来所された被害者の方です。
被害者の方はまだ通院中でしたので,症状固定後に後遺障害の申請をし,後遺障害等級の確定後に賠償請求する等の今後の流れを説明し,正式に受任致しました。
受任後、裁判基準に基づく請求額を確定させて、保険会社に対し賠償請求しました。その後,約1ヶ月程度で保険会社から賠償金額案の回答がありました。
保険会社の提示した内容は、後遺症逸失利益について、基礎収入を事故前年の実収入、労働能力喪失期間を3年間とするものでした。
※後遺障害逸失利益とは、事故後に後遺障害が残った場合に、労働能力の減少によって将来発生すると認められる収入の減少のことをいいます。
後遺障害逸失利益の問題
保険会社の提示した内容は、後遺症逸失利益について、労働能力喪失期間を3年間とするものでした。
しかし、実務上、神経症状として第14級9号が認定された場合、労働能力喪失期間は5年間と認定される傾向にあります。
そのため、労働能力喪失期間を5年間とすべく増額交渉を行いました。
具体的には、被害者の方の場合は事故時20代半ばと若年であり、今後の昇給が十分見込まれることから女性の平均賃金を基礎収入とすべきと主張しました。
その結果、裁判基準満額で解決することが出来ました。
後遺障害申請の方法
受任後、症状固定となったことを受け、後遺障害の申請をしました。
ここで、後遺障害の申請をする方法としては大きく分けて①事前認定、②被害者請求という2つの方法があります。
①事前認定とは、加害者が加入している任意保険会社が主導して後遺障害の申請を行うものです。
任意保険会社に全て任せることができるため,被害者の方としては,手続的な煩雑さはありません。
これに対して②被害者請求とは、被害者の方自身が加害者が加入している自賠責保険会社(任意保険会社ではありません)に対して後遺障害の申請を行うもので、被害者の方自身で、診断書、診療報酬明細書、後遺障害診断書、MRI画像等の資料を全て揃える必要があります。
では、どちらの手続きによるのか良いのでしょうか。
当事務所では全ての事案について②被害者請求にて後遺障害の申請をしています(弁護士が被害者の方の代理人として申請することができます)。
それは、①事前認定の場合、任意保険会社が意見書を提出することがあるのですが、その意見書に被害者の方に不利益となるような記載がなされる可能性があるためです。
この点、②被害者請求であれば,このようなリスクを回避することが可能です。
また①事前認定の場合、示談となるまで任意保険会社から賠償金を受領することはできませんが(休業損害及び交通費等の内払を除きます)、②被害者請求の場合には、後遺障害が認定された時点で自賠責保険金を受領することができ、その後の治療費等に充てんすることができます。
そのため、当事務所では、全て②被害者請求により後遺障害の申請をしています。
今回のケースでも、②被害者請求により併合第14級が認定されました。
示談内容
受任前、保険会社の提示はありませんでした。
受任後の保険会社の提示は、総額で約200万円と裁判基準と比較して不十分な金額でした。
受任前保険会社提示額 提示なし(受任後、初回提示額は200万円)
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解決額 受領総額 約250万円
【内訳(抜粋)】
後遺障害逸失利益 約40万円(受任後初回提示額)→約80万円
相談から解決までの期間
約1ヶ月半(任意交渉による解決)
「そろそろ治療は終了するけど、まだ症状が残っている…」。そのような場合には、後遺障害の申請をなされることをご検討ください。
また、その際の手続きについては、上記のとおり、被害者請求によることが良いと思います。
弁護士が被害者の方の代わりに被害者請求をすることも可能ですので、是非一度弁護士にご相談ください。