69 事実婚の状態であった30代女性について、家事従事者としての休業損害及び逸失利益が認定され、約500万円にて解決した事案。
後遺障害等級併合後遺障害別等級14級 :頸椎捻挫(ムチウチ)・腰椎捻挫 、30代女性、主婦
頚椎捻挫につき第14級9号、腰椎捻挫につき第14級9号
事実婚の状態であった30代女性について、家事従事者としての休業損害及び逸失利益が認定され、約500万円にて解決した事案です。
保険会社提示額 | - 万円 |
増加額 | - 万円 |
交通事故状況
被害者は、他者の運転する車に同乗していたところ、後方から加害車両に追突され、頚椎捻挫及び腰椎捻挫の傷害を負いました。
ご依頼者のご要望
被害者は、頚部痛及び腰部痛等の症状が後遺障害として認められる可能性があるか否か、
また、適切な損害賠償額を受領したい等のご意向を有しておられました。
受任から解決まで
当事務所にて受任後、被害者請求により、後遺障害の申請を行いました。
自賠責保険は、頚椎捻挫による頚部痛等、また、腰椎捻挫による腰部痛等の症状について、いずれも第14級9号に該当し、両者を併せて併合第14級に該当すると判断しました。
そして、後遺障害等級の認定後、裁判基準により損害額を積算し、保険会社との間で賠償交渉を開始し、任意交渉により解決しました。
示談交渉
示談交渉の結果、家事従事者の休業損害として約190万円認められる等、当事務所の主張がいずれも認められ、約500万円にて、任意交渉により解決しました。
休業損害・逸失利益
交通事故による損害賠償項目の中に、休業損害や逸失利益があります。
この点、被害者が家事従事者である場合には、原則として、交通事故が発生した年の賃金センサスの女性・学歴計・全年齢平均賃金を基礎収入として、それぞれ損害額が算出されます。
では、家事従事者としての休業損害や逸失利益は、法律上婚姻関係にある主婦にしか認められないのでしょうか。
ここで、例えば、休業損害について検討すると、家事従事者としての休業損害が認められるのは、交通事故により受けた傷害により、炊事・掃除・洗濯など、自分以外の家族のために行う家事に支障が生じたことを損害として賠償する必要があるためです。
そうすると、必ずしも被害者が女性である場合だけでなく、男性である場合(いわゆる主夫である場合)や、未だ法律婚に至っていない事実婚である場合も、被害者が他者のために行う家事に支障が生じている場合には、家事従事者としての休業損害が認められます。
もっとも、実務上、被害者が主夫としての休業損害を請求する場合等は、これを否認する保険会社との間で、争いとなることが少なくありません。
この点、損害が発生したことを立証する責任は被害者に課せられていますので、主夫としての休業損害を請求する場合には、妻が世帯主となっている住民票や、妻が一家の支柱であることを裏付けるため妻の源泉徴収票を提出する等して、自己が主夫であることを立証する必要があるでしょう。
本件では、被害者の女性は、まだ法律婚には至っていませんでしたが、交通事故の約2年前より同棲を開始し、既に婚約をしていたこと等から、事実婚の状態にあるものとして、家事従事者としての休業損害及び逸失利益が認められ、被害者の方にとっても満足の行く内容にて解決することができました。
もし、家事従事者としての損害賠償を認めてもらえないなど、お困りのある方がおられましたら、一度、当事務所までご相談下さい。
被害者は、法律婚には至っておらず、事実婚の状態であったものの、家事従事者としての休業損害及び逸失利益が認められました。