下肢(股、膝、足首、足指)の障害 / 膝蓋骨骨折 の解決事例

90 左膝蓋骨骨折等による疼痛等の症状につき第12級13号が認定された男性会社員について、労働能力喪失期間を20年とし、約1000万円にて示談した事案

下肢(股、膝、足首、足指)の障害膝蓋骨骨折

後遺障害等級後遺障害別等級12級~13級13号 :下肢(股、膝、足首、足指)の障害 / 膝蓋骨骨折 、30代男性、会社員

神経症状
左膝蓋骨骨折等による疼痛等の症状につき第12級13号が認定された男性会社員について、
労働能力喪失期間を20年とし、約1000万円にて示談した事案です。

  1,000
万円
保険会社提示額 - 万円
増加額 - 万円

交通事故状況

被害者は、青信号に従い自転車を運転して横断歩道上を走行していたところ、青信号に従い対向方向より右折進行してきた四輪車に衝突され、左膝蓋骨骨折等の傷害を負いました。

本件事故の基本的過失割合は、被害者10%、加害者90%です。

ご依頼者のご要望

被害者は、左膝蓋骨骨折等による疼痛等の症状につき第12級13号が認定されたことを踏まえ、適正な額の損害賠償金を受領したいとしてご相談に来られました。

受任から解決まで

当事務所にて受任後、裁判基準により損害額を算出し、保険会社との間で賠償交渉を開始しました。

保険会社は、傷害慰謝料及び後遺症慰謝料については、当事務所が主張する通り、いずれも裁判基準満額を認定しましたが、逸失利益については、労働能力喪失期間を10年と主張しました。

そこで、当事務所は、労働能力喪失期間を延長すべく、粘り強く賠償交渉を行い、最終的に、労働能力喪失期間として20年が認定されました。

その結果、最終受領額を約1000万円として、任意交渉により解決しました(なお、被害者は、被害者請求により後遺障害の申請をし、自賠責保険金として既に224万円を受領しており、約1000万円という金額は、自賠責保険金を除いた金額です。)。

第12級13号の場合における労働能力喪失期間

赤い本は、労働能力喪失期間について、「労働能力喪失期間の終期は、原則として67歳とする。」とする一方で、「むち打ち症の場合は、12級で10年程度、14級で5年程度に制限する例が多く見られるが、後遺障害の具体的症状に応じて適宜判断すべきである。」としています。

赤い本を素直に読むと、むち打ち以外の傷病名が付されている場合には、労働能力喪失期間は、67歳まで認められるべきとも思われます。

しかし、実務上は、赤い本が文字通り適用されているとは必ずしも言えません。

むしろ、第12級13号が認定された場合には、保険会社は、傷病名に留意することなく、「神経症状のため」という理由により、労働能力喪失期間を10年程度と主張する例が多いように思われます。

しかし、本件では、被害者は、左膝蓋骨骨折等による疼痛等の症状について第12級13号が認定されているところ、左膝蓋骨骨折後の不整癒合が残存したことからすると、疼痛等の症状が不整癒合に起因する以上、これらの症状が今後も残存する可能性が高いと考えられます。

このような後遺障害の内容等からすると、本件を、むち打ちの事案と同じように考えることは妥当ではありません。

そうすると、第12級13号が認定された場合には、単に「神経症状のため」という理由により労働能力喪失期間を制限的に認定することは妥当ではなく、各事案ごとに、傷病名だけでなく、残存した症状やその原因等を精査して、労働能力喪失期間を認定する必要があると言えます。

特に、逸失利益は、損害賠償金の大きな割合を占めるため、労働能力喪失期間を何年と認定するかは、非常に重要なポイントとなります。

もし、保険会社から提示された賠償金額が妥当かどうかご不安のある方がおられましたら、ご示談される前に、一度、弁護士までご相談下さい。

担当弁護士のコメント 担当弁護士のコメント

第12級13号が認定された被害者の逸失利益について、労働能力喪失期間として20年が認定されました。