92 事前認定により第14級9号が認定されていた男性会社員について、異議申立てにより併合第11級が認定され、約2200万円にて解決した事案
後遺障害等級併合11級 :上肢(肩、腕、肘、手首、手指)の障害 / 下肢(股、膝、足首、足指)の障害 / 橈骨・尺骨骨折 / 脛骨・腓骨骨折 、男性会社員
①左手関節の機能障害(第12級6号)、②神経症状(第12級13号)
事前認定により第14級9号が認定されていた男性会社員について、
異議申立てにより併合第11級が認定され、約2200万円にて解決した事案です。
保険会社提示額 | - 万円 |
増加額 | - 万円 |
交通事故状況
被害者は、バイクを運転して道路を走行中、路外から進入してきた加害車両に衝突され、左橈骨茎状突起骨折及び右脛骨高原骨折等の傷害を負いました。
ご依頼者のご要望
被害者は、事前認定により第14級9号が認定されており、異議申立てにより上位等級の認定を受けること、適切な賠償金額を受領することをご希望され、ご相談に来られました。
受任から解決まで
事前認定は、右脛骨高原骨折後の右膝の疼痛等の症状に関して、「右脛骨高原骨折後の骨癒合は良好で変形や関節面の不整も認められず、後遺障害診断書などからも症状の裏付けとなる客観的な医学的所見に乏しいことから、他覚的に神経系統の障害が証明されるものとは捉えられません。
しかしながら、受傷態様や治療経過等を踏まえれば、将来においても回復が困難と見込まれる障害と捉え、『局部に神経症状を残すもの』として別表第二第14級9号に該当するものと判断します。」と認定しました。
そこで、当事務所は、異議申立てに当たり、右脛骨高原骨折に関する不整癒合の有無等を精査するため、画像鑑定を実施しました。
そして、右脛骨高原骨折に関して、関節面に陥凹の残存が認められる旨の鑑定結果を取得したことから、右膝の疼痛等が他覚的に証明されている旨を主張しました。
また、被害者は、本件事故により左橈骨茎状突起を骨折していましたが、事前認定に際しては、左手関節の可動域が後遺障害診断書に記載されておらず、後遺障害として評価されていなかったことから、異議申立てに当たり、主治医より左手関節の可動域を計測して頂き、後遺障害診断書に追記して頂いた上で、機能障害が残存している旨を主張しました。
その結果、自賠責保険は、右脛骨高原骨折後の右膝の疼痛等の症状に関して「骨癒合は得られているものの右脛骨高原骨折後の不整癒合等が認められ、他覚的に神経系統の障害が証明されるものと捉えられる」として第12級13号と認定し、左橈骨茎状突起骨折による機能障害に関して「可動域が健側(右手関節)の可動域角度の3/4以下に制限されている」として第12級6号と認定し、両者を併せて併合第11級に該当すると認定しました。
そして、異議申立てにより上位等級が認定された後、保険会社に対して、裁判基準により慰謝料等を算出して賠償交渉を開始し、任意交渉により、最終受領額1850万円として解決しました(なお、被害者は、異議申立てにより上位等級が認定された際に、自賠責保険金として第11級相当の331万円を受領しており、1850万円という金額は、自賠責保険金を除いた金額です。)。
第12級13号と第14級9号の差
自賠責保険は、第12級13号として「局部に頑固な神経症状を残すもの」と規定し、第14級9号として「局部に神経症状を残すもの」と規定しています。
第12級13号と第14級9号を比べると、「頑固な」というワードの有無が異なります。
それでは、どうすれば「頑固な」神経症状と評価されるのでしょうか。
この点、「頑固な」とは、障害の存在を他覚的に証明することができるものと考えられています。
他覚的な証明は、X線、CT、MRI、反射、神経伝導速度検査及び針筋電図検査など、様々な検査結果を前提として判断されます。
本件では、被害者には、右脛骨高原骨折により右膝に疼痛等の症状が残存していることから、右膝の疼痛等の症状を他覚的に証明することができるかどうかが問題となります。
診断書などからは、骨癒合自体は得られていることが窺われましたので、癒合状態がポイントとなります。
この点、事前認定では、「関節面の不整も認められず」と認定されていましたが、画像鑑定の結果、実際は、関節面に陥凹の残存が認められることが判明しました。
そこで、当事務所では、関節面が不整癒合していることから、右膝の疼痛等の症状を裏付ける他覚的所見が存在することを主張し、その結果、自賠責保険は、当方の主張を認め、事前認定の判断を覆すに至りました。
後遺障害の申請方法は、①被害者請求、②事前認定という2つの方法があります。
このうち、事前認定は、保険会社の主導により認定手続が進められますが、保険会社は、被害者に対して損害賠償金を支払う立場にあり、被害者とは利害が対立しています。
そのため、事前認定においては、被害者の症状を全て明らかにしようとするインセンティブは必ずしも働かないため、後遺障害の立証が不十分となるケースが見受けられます。
本件も、そのようなケースの1つと言えるでしょう。
しかし、逸失利益及び後遺症慰謝料(後遺障害慰謝料とも言います。)は、賠償金全体のうち約80%を占めており、後遺障害等級に応じて賠償金も大きく異なることから、適切な損害賠償額を受領するに当たっては、まず、適切な後遺障害が認定されなければなりません。
従って、本来認定されるべき等級が認定されていない場合には、初回認定を覆すべく、異議申立てを行う必要があります。
当事務所では、本件以外でも、これまで数多くの案件で異議申立てによる成果を獲得しています。もし、「後遺障害が認められなかった。」、「認定された等級は妥当なのだろうか。」という疑問がございましたら、賠償交渉に着手される前に、当事務所までご相談下さい。
異議申立てにより、第14級9号から併合第11級へと認定が覆りました。
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