上肢(肩、腕、肘、手首、手指)の障害 の解決事例

59 相手方無保険車の後遺障害第12級6号の被害者について、無保険車傷害保険金730万円を受領した事案

上肢(肩、腕、肘、手首、手指)の障害

後遺障害等級後遺障害別等級12級~13級号 :上肢(肩、腕、肘、手首、手指)の障害 、40代男性、会社員

右肩関節機能障害(第12級6号)
相手方無保険車の後遺障害第12級6号の被害者について、無保険車傷害保険金730万円を受領した事案です。

  730
万円
保険会社提示額 0 万円
増加額 730 万円

交通事故状況

自動車を運転して直進中に、路外へ右折しようとした対向車に衝突されました。

ご依頼者のご要望

加害車両が無保険車で、加害者も一切の賠償を拒否し、今後どうすればよいかご相談を受けました。

受任から解決まで

被害者は、交通事故により右肩腱板損傷による右肩可動域制限について右肩関節機能障害(第12級6号)の後遺障害認定を受けました。

しかし、加害車両は任意保険に加入していない無保険車であり、加害者も一切の賠償を拒否していました。

加害者に対し訴訟提起し、被害者の主張をほぼ認める判決を得ましたが、依然として加害者は賠償を拒否し続けました。加害者には資力がなく、損害賠償金の回収可能性が乏しいことから、被害者のご家族が加入する自動車保険の無保険車傷害保険を利用して、判決と同額の金額を受領し、解決しました。

訴訟、過失割合

勤務中の交通事故のため、治療費及び休業損害については労災から支払を受けました。しかし、慰謝料及び逸失利益については、損害の補填を受けられませんでした。

そこで、加害者に対し訴訟提起して損害賠償金の支払いを求めました。

争点は過失割合でした。

本件事故は、加害者が路外に右折する際に、対向から直進する被害車両に衝突した事故のため、その責任の多くは加害者にあります。

ところが、加害者は、吹雪で視界がほとんどないところに被害車両が突然現れたとして、過失割合50%:50%と主張しました。

これに対し、当事務所は、本件事故現場近くの気象庁観測所のデータにより、本件事故当時の降水量は0.5mm未満/時であり、日照時間が0.6時間/時もあったことが判明し、吹雪で視界がほとんどなかったとする被告の主張は信用できないこと、また刑事記録によると被告は衝突して初めて被害車両に気づいているため被告には前方不注視の著しい過失が存在することを主張立証しました。

裁判所は、当事務所の主張を認めて、原告と被告の過失割合を5%:95%と認定し、次のような判決を言い渡しました。

賠償項目 判決で提示された金額
治療費 264万円
入院雑費 4万円
通院交通費 3万円
傷害慰謝料 183万円
休業損害 264万円
後遺障害による逸失利益 488万円
後遺障害慰謝料 290万円
以上小計 1500万円
過失相殺5% 75万円
損益相殺(自賠責、労災) 760万円
弁護士費用 65万円
最終受領金額 730万円

 

無保険車傷害保険金

加害車両が任意保険に加入していない無保険車の場合、自賠責保険を超える損害について、被害者は、加害者本人に対し請求することとなります。

ところが、加害者が無資力の場合、被害者は損害賠償金の支払を受けることができません。このような被害者を救済する保険があります。

一般に、無保険車傷害保険とよばれ、自動車事故により死亡または後遺障害を負い、加害車両が無保険車等のため十分な補償を受けられない場合に、被害者に対して支払われる保険です。

この無保険車傷害保険は、全ての任意保険に付いています。

つまり、加害車両が無保険車等であっても、被害者が死亡または後遺障害を負った場合、ご自身の任意保険から無保険車保険金を受領して補償を受けることができるのです。

無保険車傷害保険と人身傷害保険の支払基準の違い

無保険車傷害保険は、加害車両が無保険車等のため十分な補償を受けられない場合に、被害者に対して支払われる保険のため、慰謝料の支払基準は、加害者側から受領する場合のいわゆる賠償基準(赤い本基準)と同様と考えられています。

他方で、人身傷害保険は、被害者と保険会社との間の保険契約に基づくもので、慰謝料の支払基準は一般に賠償基準より低額です。

例えば、第12級後遺障害慰謝料(後遺症慰謝料)は、賠償基準(赤い本基準)では290万円であり、人身傷害保険の基準では一般に100万円です。

このため、被害者が保険会社に対して無保険車傷害保険金と人身傷害保険金の両方を請求可能な場合、両者の慰謝料の支払基準が異なることに注意する必要があります。

担当弁護士のコメント 担当弁護士のコメント

加害車両が無保険車のため加害者側から損害賠償を受けることができませんでしたが、被害者の無保険車傷害保険を利用して、加害者側から受領する損害賠償額と同額の保険金を受領することができました。