96 被害者の過失割合について、基本15%のところ、5%で解決
後遺障害等級併合7級 :下肢(股、膝、足首、足指)の障害 / 脛骨・腓骨骨折 、32歳、会社員
①右足関節の機能障害(第8級7号)、②右足趾の機能障害(第9級15号)、③神経症状(第14級9号)
被害者の過失割合について、基本15%から10%有利に修正し、5%で解決した事案。
保険会社提示額 | - 万円 |
増加額 | - 万円 |
交通事故状況
被害者は、バイクを運転して青信号に従い交差点を直進進行したところ、対向方向から青信号に従い右折進行してきた四輪車に衝突され、右脛骨高原骨折及び右大腿骨骨幹部骨折等の傷害を負いました。
ご依頼者のご要望
被害者は、妥当な損害賠償金を受領することをご希望されていました。
受任から解決まで
当事務所にて受任後、裁判基準により損害額を積算し、加害者との間で賠償交渉を開始しました。
本件は、信号機により交通整理の行われている交差点において、青信号に従い交差点を直進進行するバイクと、青信号に従い交差点を対向方向から右折進行した四輪車が衝突した事故であることから、基本的過失割合は、被害者15%、加害者85%でした。
当事務所は、被害者の過失を減算修正すべき旨を主張しました。
しかし、加害者は、傷害慰謝料及び後遺症慰謝料について裁判基準の80%、過失割合について被害者15%、加害者85%として、今後支払額約1800万円と主張しました。そこで、当事務者は、訴訟を提起することとしました。
訴訟では、最大の争点であった過失割合について、当事務所の主張が認められ、被害者5%、加害者95%と認定されました。その結果、今後支払額3800万円(自賠責保険金1051万円は含んでおりません。)として、和解により解決しました。
過失割合
過失割合が争点となる場合は、刑事事件記録が非常に重要となります。刑事事件記録には、実況見分調書のほか、被害車両や加害車両の写真、被害者や加害者の供述調書などが含まれており、これにより、衝突地点、被害車両や加害車両の速度、停止地点など、事故の発生状況を具体的に把握することが可能となります。
そのため、過失割合が争点となる場合は、刑事事件記録を入手し、修正要素が適用されるケースか否か等を検討する必要があります。
しかし、本件は、交通事故が発生したのが平成19年であり、刑事事件記録の保管期間が経過していたことから(刑事事件は罰金に処する判決であったため、保管期間は3年です。)、当事務所が受任した時点で、既に実況見分調書や供述調書は破棄されており、辛うじて、略式命令及び起訴状だけ入手することができました。
この点、起訴状には「被告人は、(中略)、右折進行するに当たり、対向直進車両の有無に留意し、その安全を確認しながら右折進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、対向直進車両の有無及びその安全確認不十分のまま漫然時速約20ないし30キロメートルで右折進行した過失により、折から対向直進してきた被害者運転の普通自動二輪車に気付かず、」と記載されており、略式命令ではその旨事実認定されていました。
そこで、当事務所は、加害者は被害車両に衝突して初めて被害車両の存在に気付いていることから、このことは加害者の「著しい過失」に該当する旨主張しました。裁判所は、当事務所の主張を認め、前述した通り、基本的過失割合は被害者15%、加害者85%であったものの、加害者に「著しい過失」があるとして、被害者5%、加害者95%と認定しました。
本件は、刑事事件記録が破棄されていたものの、それでもなお、加害者の「著しい過失」を認めた事案として、意義があると言えるでしょう。
基本的過失割合から被害者に有利に減算修正が適用されました。
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