リース車両が損傷した場合の損害賠償請求権者は?【コラム】
物損事故の場合、通常、自動車の所有者は、加害者に対して損害賠償請求権を取得します。
ここで最近よく問題になるものとして、交通事故により損傷を受けた自動車がリース車両であった場合があります。
リース契約とは、リース業者が、ユーザーに対して、自動車を一定の金額で一定の期間賃貸し、期間経過後にユーザーがリース業者に対して自動車を返還するという内容の契約です。なお、リース契約の内容によっては、期間経過後にユーザーが自動車を買い取るかどうかを選択できる場合もあります。
では、リース車両が損傷した場合には、誰が加害者に対して損害賠償請求権を取得するのでしょうか。
この問題を検討するに当たっては、全損と部分損を分けて検討する必要があります。
まず、リース車両が全損となった場合には、賠償金は自動車の価値を金銭的に評価したものであることから、リース車両の所有者であるリース業者が損害賠償請求権を取得します。
これに対して、リース車両が部分損にとどまり、ユーザーが修理費用を支払った場合には、ユーザーはリース車両の所有者ではないものの、加害者に対して修理費用を請求することができると考えられています。
もっとも、リース車両が部分損にとどまったものの、評価損が発生していると認められる場合には、全損の場合と同じく、評価損は自動車の価値を金銭的に評価したものであることから、リース車両の所有者であるリース業者が加害者に対して評価損を請求することができると考えられています。
なお、交通事故により損傷した車両が所有権留保付車両である場合にも、リース車両の場合と同じような問題が生じます。
もし、リース車両や所有権留保付車両が損傷してお困りの方がおられましたら、ぜひ一度、当事務所までご相談ください。
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