14 むち打ち(頸椎捻挫) 休業損害0円から70万円に増額示談解決
後遺障害等級後遺障害別等級14級9号 :頸椎捻挫(ムチウチ)・腰椎捻挫 、30代女性、会社員
神経症状
受任前に保険会社は主婦の休業損害として0円を提示していたものの、最終的に主婦の休業損害として約70万円にて解決しました。
保険会社提示額 | 150 万円 |
増加額 | 230 万円 |
相談内容
○○県の地方相談会に来られた被害者の方です。
ご相談に来られた際、被害者の方は既に事前認定にて後遺障害の申請をされておられ、後遺障害に該当する見込みや賠償金額の見込等についてご説明致しました。
その後、被害者の方から第14級9号が認定されたとの連絡を受け、正式に受任し、賠償請求に着手しました。
受任後、裁判基準に基づく請求額を確定させて、保険会社に対し賠償請求しました。
その後、約1ヵ月程度で保険会社から賠償金額案の回答がありました。
保険会社の提示は、傷害慰謝料として100万円、後遺障害逸失利益として約50万円、後遺障害慰謝料として90万円という内容でした。
また、休業損害については受任前の提示額0円のままでした。
※後遺障害逸失利益とは、事故後に後遺障害が残った場合に、労働能力の減少によって将来発生すると認められる収入の減少のことをいいます。
休業損害(受任前提示額0円から約70万円に増額)
休業損害に至っては受任前と変わらず0円という提示内容でした。
保険会社の主張
「被害者の方は正社員として働かれており、事故後も仕事をほとんど休んでおらず、収入に減収はありません。
仕事を休んでいないことからすれば、症状の程度は軽かったのでしょうし、当然家事労働にも支障はなかったといえます。」
弁護士の主張
「被害者の方は、事故後の症状が辛かったものの、職場の人手不足等の事情により無理をして就労していたのであり、家事労働にも相当程度の支障があったことは明らかです。
家事労働への支障がある場合には、たとえ正社員としての収入に減収がないとしても、これとは別に損害として評価する必要があります。保険会社のように、この場合には休業損害が発生しないと一刀両断に判断することは、あまりにも被害者の方の実情を見誤っているというべきです。」
その後、保険会社と任意交渉を継続したものの、保険会社が主婦としての休業損害の賠償に応じなかったため、交通事故紛争処理センターに申立てをしました。
紛争処理センターでも同じく被害者の方の事故後の家事労働への支障を具体的に主張し、最終的には、約70万円の賠償を受けることができました。
傷害慰謝料(受任前提示額約72万円から約115万円に増額)
傷害慰謝料(入通院慰謝料)とは、交通事故により受けた「精神的」・「肉体的」苦痛に対して支払われるお金です。
裁判では、赤い本に掲載されている基準を用いて,入院期間や通院期間に応じて算出されます。
しかし、往々にして、保険会社が被害者に提示する額は、裁判基準より低いのが実情です。
今回のケースでは、受任前の提示額は75万円でした。
任意交渉の段階では相手方保険会社が裁判基準での示談に応じなかったため、交通事故紛争解決センターに申立を行いました。
結果、傷害慰謝料(入通院慰謝料)について、裁判基準満額(約115万円)で解決することができました。
後遺障害逸失利益と後遺障害慰謝料(後遺症慰謝料)の約145万円の増額
後遺障害逸失利益とは、交通事故に遭わなければ本来得られていたであろう金銭的利益のことです。
14級の多くの場合、労働喪失率5%、5年で算出されます。
後遺障害慰謝料(後遺症慰謝料)とは、交通事故の被害者が後遺障害をもたらす傷害を負ったこと自体に対する慰謝料です。
後遺障害逸失利益、後遺障害慰謝料(後遺症慰謝料)ともに、裁判では赤い本の基準に基づき算出されます。
保険会社が被害者に提示する額は、裁判基準より低い金額であることが多いです。
今回、受任前の保険会社の提示額は、後遺障害逸失利益、後遺障害慰謝料(後遺症慰謝料)合計で75万円と非常に低額でした。
受任後の交渉で、後遺障害逸失利益として約50万円、後遺障害慰謝料(後遺症慰謝料)として約90万円まで増額されましたが、
裁判基準に比べるとまだまだ増額の余地がありました。
そこで、交通事故紛争処理センターへの申立てを行いました。
示談内容
受任前保険会社提示額 150万円
⇓
解決額 受領総額 約380万円
【内訳(抜粋)】
休業損害 約0円(受任前)→約70万円
傷害慰謝料(入通院慰謝料) 約72万円(受任前)→約115万円
後遺障害逸失利益及び後遺障害慰謝料(後遺症慰謝料) 約75万円(受任前)→約190万円
相談から解決までの期間
約2ヶ月(交通事故紛争処理センターによる解決)
一般的に、保険会社は、主婦としての休業損害を認定することに難色を示すことが多いです。
専業主婦である場合においてすら、主婦としての休業損害が受領できることを教えてもらえない被害者の方もいらっしゃ
るというのが実情です。
今回のケースでは、さらに被害者の方が事故後も仕事を休んでいないという事情があったため、保険会社は、主婦としての休業損害は認められないと当初より主張していました。
被害者の方が主婦の方である場合には、主婦としての休業損害を請求することが可能ですので(収入のある方は、賃金センサス上の平均賃金を下回ることが前提となります。)、ぜひ一度弁護士にご相談されることをお勧め致します。