51 後遺障害第14級9号の被害者について、保険会社提示額約80万円から、約5倍の約420万円へ増額した事案
後遺障害等級併合後遺障害別等級14級 :下肢(股、膝、足首、足指)の障害 / 脛骨・腓骨骨折 、60代女性、主婦
右膝神経症状
頚部及び腰部受傷後の疼痛等について後遺障害非該当から異議申立てが認められ併合第14級が認定された事案です。


保険会社提示額 | 80 万円 |
増加額 | 340 万円 |
交通事故状況
自動二輪車を運転して交差点を直進中に、一時停止規制ある交差点から出てきた四輪車に右方から衝突されました。
ご依頼者のご要望
相手方保険会社の示談金額案が妥当かどうかについて、ご相談を受けました。
受任から解決まで
被害者は、事前認定により、右脛骨高原骨折後の右膝関節痛について、「局部に神経症状を残すもの」として自賠責後遺障害第14級9号に認定されていました。
問題は、各損害額及び過失割合でした。 当事務所は、相手方保険会社に対し、休業損害、通院慰謝料、後遺障害逸失利益、後遺障害慰謝料について裁判基準で請求し、また刑事記録を取り寄せたうえで、過失割合について交渉しました。
任意交渉により、受任から解決まで約3ヶ月で解決しました。
示談交渉
相手方保険会社が、当初被害者に対して提示した金額と、弁護士が交渉して解決した金額は、次のとおりです。
保険会社提示額 解決額 増加額
休業損害 83万円 183万円 100万円
通院慰謝料 144万円 237万円 93万円
後遺障害逸失利益 38万円 62万円 24万円
後遺障害慰謝料 37万円 110万円 73万円
過失相殺 35% 10%
最終受領金額 約80万円 約420万円 約340万円
増額交渉のポイントは次のとおりです。
●休業損害:家事への支障を具体的に説明し、休業日数を150日から220日へ増加。
●通院慰謝料:保険会社基準の低い金額から、裁判基準(赤い本の通院慰謝料別表Ⅰ)の慰謝料へ増額。
●後遺障害逸失利益:労働能力喪失期間を3年から5年へ延長。
●後遺障害慰謝料:保険会社基準の低い金額から、裁判基準(赤い本基準)の第14級後遺障害慰謝料110万円へ増額。
●過失割合(過失相殺):以下に詳しくご説明します。
過失割合
本件では、被害者側の過失割合(過失相殺)について、保険会社は35%と主張していたところ、弁護士が交渉して10%に減少させたことで、賠償金額を大きく増額することができました。
過失割合の交渉で最も重要なことは、別冊判例タイムズ38号のどの事故類型が適用されるか、です。なぜなら、事故類型ごとに基本過失割合が大きく異なるからです。別冊判例タイムズ38号とは、東京地裁民事交通訴訟研究会編「別冊判例タイムズ38 民事交通事故訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版」のことで、事故類型ごとに基本過失割合が定められています。裁判所が利用している認定基準であるため、保険会社との間の示談交渉においても、この別冊判例タイムズ38に記載された基本過失割合に基づいて過失割合を議論します。
本件において、保険会社は、当初、別冊判例タイムズ38の【169】図が適用されるとして、被害者側の過失割合を35%と主張しました。別冊判例タイムズ38の【169】図とは、加害車両である四輪車が一時停止規制のある交差点を一時停止した後に交差点に進入した場合の事故類型のことです。しかし、本件事故現場である交差点内に道路の中央線(センターライン)が引かれているため、被害車両が走行していた道路は、道路交通法上の優先道路に該当します。そして、非優先道路から出てきた四輪車が、優先道路を走行中の二輪車に衝突した場合の事故類型は、別冊判例タイムズ38の【171】図に該当し、被害者側の基本過失割合は10%なのです。
当事務所は、刑事記録を取り寄せたうえで、被害車両が道路交通法上の優先道路を走行していたことを立証して、保険会社と交渉しました。
その結果、相手方保険会社との間で、別冊判例タイムズ38の【171】図の基本過失割合である被害者側過失割合10%で合意に至りました。


交通事故の示談交渉において、過失割合(過失相殺)は、損害賠償額に大きく影響します。
本件においてそうであったとおり、保険会社は、別冊判例タイムズ38の適用可能な事故類型の中で、被害者にとって最も不利な(保険会社にとって最も有利な)事故類型に基づいて過失割合を主張する傾向にあります。
このため、被害者としては、保険会社が主張する事故類型が妥当かどうかについて、示談する前に検証する必要があります。
過失割合についてお悩みの被害者の方は、交通事故専門の弁護士へご相談されることをお勧めします。
【交通事故賠償項目】交通事故における損害とは(損害の全体像)
【交通事故賠償項目】過失割合について
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