101 醜状障害として第9級16号が認定された女性会社員の逸失利益について、労働能力喪失率20%、労働能力喪失期間が67歳まで認定された事案
後遺障害等級併合9級 :頸椎捻挫(ムチウチ)・腰椎捻挫 / 顔の障害 / 顔面線状痕・瘢痕・挫創 、30代女性、会社員
①醜状障害(第9級16号)、②神経症状(頚部挫傷/第14級9号)、③神経症状(腰部挫傷/第14級9号)
醜状障害として第9級16号が認定された女性会社員の逸失利益について、労働能力喪失率20%、労働能力喪失期間が67歳まで認定された事案。
保険会社提示額 | 700 万円 |
増加額 | 1,160 万円 |
交通事故状況
被害者は、被害車両を駐車させ、被害車両の後方にいたところ、加害車両が対向方向から被害車両に正面衝突し、被害車両の後方にいた被害者を跳ね、被害者は、額部外傷性瘢痕、頚部挫傷及び腰部挫傷等の傷害を負いました。
ご依頼者のご要望
被害者は、事前認定により併合第9級と認定され、保険会社から賠償金が提示されており、妥当な賠償金額を受領することをご希望されていました。
受任から解決まで
保険会社は、被害者に対して、自賠責保険基準を前提として、賠償金額として約700万円と提示しており、増額が見込まれました。
そこで、当事務所にて受任後、裁判基準に基づき損害額を積算し、保険会社との間で賠償交渉を開始しました。
保険会社は、醜状障害による逸失利益を頑なに否認し、頚椎捻挫及び腰椎捻挫による後遺障害としてそれぞれ第14級9号が認定されていたことから、第14級9号を前提として、労働能力喪失率5%、労働能力喪失期間5年と主張しました。
そこで、当事務所は、交通事故紛争処理センターへ申立てをし、被害者が、本件事故以前はドラッグストアの化粧品売場で接客担当をしていたこと、本件事故後は接客担当をすることができず、レジや品出しを担当せざるを得なかったこと等、醜状障害による職務に対する支障を丁寧に主張立証しました。
その結果、交通事故紛争処理センターは、逸失利益について、労働能力喪失率20%、労働能力喪失期間を67歳までとする斡旋案を提示しました。
そして、最終的に、既払金を除いた賠償金額として約1860万円にて、解決に至りました。
外貌の醜状障害と逸失利益
平成22年6月10日以降に発生した交通事故について、外貌の醜状障害は、①外貌に著しい醜状を残すものは第7級12号、②外貌に相当程度の醜状を残すものは第9級16号、③外貌に醜状を残すものは第12級14号に該当します。
外貌の醜状障害は、醜状障害によって直ちに減収が生じるとは言い難い側面があることから、逸失利益の有無・程度を巡って争点化することが多く、保険会社は、本件のように、醜状障害による逸失利益を否定する傾向にあります。
この点、裁判実務では、醜状障害の内容・程度、被害者の性別、年齢、職業、昇給・昇格への影響の有無、配置転換等、様々な要素を考慮した上で、労働能力喪失の有無・程度が判断されています。
そのため、逸失利益が争点となった場合は、個別具体的なケースごとに、これらの要素を検討する必要があります。
本件では、被害者には、左のこめかみ辺りに、L字型に5cmの線状痕が残存しており、髪で線状痕を隠すことも困難であったほか、被害者は、本件事故以前はドラッグストアの化粧品売場で接客担当をしていたところ、本件事故後は客から線状痕について指摘されることがあったなど、化粧品売場で接客を継続することが困難となった事情がありました。
従って、本件では、醜状障害により職務に支障が生じていることから、逸失利益が認められるべきであり、交通事故紛争処理センターが提示した斡旋案では、この点が適切に評価されたと言えます。
当事務所では、本件以外でも、保険会社が醜状障害による逸失利益を否認した事案について、逸失利益を獲得した実績があります。
保険会社から提示された賠償金額について、逸失利益が適切に評価されているかご不安がありましたら、ご示談される前に、当事務所までご相談下さい。
外貌の醜状障害による逸失利益について、労働能力喪失率20%、労働能力喪失期間が67歳まで認められました。