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事故の慰謝料。契約書を作る意味って何?【コラム】

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不幸にも交通事故が生じた場合、加害者は被害者に対し、慰謝料などの損害賠償額を支払う責任が生じます。

この責任のことを損害賠償責任といいます。
ただし、交通事故による損害賠償責任については、双方に過失が存在する場合、過失相殺が適用されることとなりますから、仮に、交通事故によって双方に同額の損害が発生し、かつ同様の過失割合(50%:50%)であった場合には、双方について、過失相殺後の賠償責任額はゼロということになります。

しかし、現実的にはこのような状況はほとんど考えられないことから、損害賠償責任の大小はあるものの、ほとんどの交通事故について、一方当事者について、慰謝料等の損害賠償責任が生じるといえます。

慰謝料等の損害賠償責任を明確にするために、「契約書」、「示談書」、「合意書」といったかたちで書類を作成することがありますが、これにはどういった意味があるのでしょうか。

第1に、最も重要な意味は、交通事故を原因として加害者が被害者に対し支払うべき金額(損害賠償額)を証明することです。
交通事故が発生した場合、通常、警察の実況検分調書(現場の見分状況書)などに基づき、交通事故の原因について、どちらの当事者にどの程度の責任があるのか、すなわち過失割合について検討されます。

交通事故を原因としてお怪我を負った被害者が、どれだけ被害をこうむったと主張しても、加害者が過失割合などに納得しないことがあります。

このような場合、互いに納得できない部分について合意できないまま、いつまでの事件が解決できないことがあります。「契約書」、「示談書」、「合意書」といった書面では、通常、加害者と被害者双方の署名捺印が行われます。

これはその書面に記載されている内容について、双方が合意したことを示します。
また、その書面には、「両当事者は、本件に関し、本書面に記載されたもののほか、何ら債権債務を有しない」といった条項が盛り込まれます。
この条項は、一般に精算条項とよばれ、今後、慰謝料などについて請求しないこと、また請求されたとしても支払う義務を負わないこと、つまり、交通事故に関して、その書面に記載されたもののほか、両当事者は一切の支払義務を負わないことを意味します。

このように、交通事故に関して、「契約書」、「示談書」、「合意書」といった書面に署名捺印が完了した時点で、書面記載の事項以外については、金銭のやり取りを含み、今後何ら議論することはないとして取り扱われることになります。

このような書面を作成することによって、交通事故が発生した際の責任関係などの処理をスムーズに行うことが出来るようになるのです。

第2に、「契約書」、「示談書」、「合意書」などを作成する大きな意味は、訴訟を行うことなく解決できるため、訴訟関連の費用がかからないということです。

加害者と被害者が双方異なる意見を主張し、訴訟外で解決に至らない場合には、訴訟を提起し、裁判の場で、慰謝料や過失割合などについて裁判官が判断することもあり得ます。

しかし、裁判を行う場合には、訴訟提起時に必要な印紙代や弁護士費用が必要になるほか、解決までに1年から2年程度の時間を要すこともあります。

解決まで費用や時間を必要とすることは、双方にとって好ましいものではありませんから、慰謝料などの損害賠償額や過失割合などについて、双方の主張にそれ程ひらきがない場合であれば、訴訟を提起して裁判という手段に訴えるより、「契約書」、「示談書」、「合意書」などの書面で双方合意して解決するほうが好ましい場合もあります。

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