休業損害 / 示談案の提示、示談交渉 の基礎知識

交通事故事案における主婦の休業損害の認定基準

休業損害示談案の提示、示談交渉

交通事故事案における主婦の休業損害の認定基準

休業損害は、一般的に、次の計算式で算出されます。

基礎収入×休業日数

① 基礎収入について

主婦の休業損害は、賃金センサスの女性学歴計・全年齢平均収入
が用いられます。
賃金センサスによると、1日の休業について、
9,600円(350万円÷365日)となります。

② 主婦の休業日数について

裁判上、「受傷のため、家事労働に従事できなかった期間につき認められる」(最高裁判所昭和50年7月8日判決)と されています。この「家事労働に従事できなかった期間」が問題となり、入院により全く家事ができない期間についてはともかく、通院期間に関しては、そのうち何日を休業したとみるべきかについて、確立した基準が存在しないのです。

このため、被害者が主婦の場合、加害者側保険会社との間で、休業日数について争いになることがほとんどです。保険会社は、弁護士が介入しない段階では、被害者に対し、後遺障害が認定された場合でも、休業日数を過小評価する傾向があります。

これに対し、弁護士としては、裁判例等を根拠として、次の2つのいずれかの方法で、保険会社に対し、休業日数を認めるよう交渉します。

1 通院実日数を休業日数とみる。

例) 通院実日数が100日の場合、休業損害は、次のとおりになります。

9,600円×100日=960,000円

2 段階的に休業の割合が低下することを前提に算出する。

例) 事故から症状固定まで180日の場合、症状固定までの期間を4等分し、

45日(180日÷4)の4つの期間について、最初の4分の1の期間は100%休業、

次の4分の1の期間は75%休業と仮定し、段階的に休業割合が低下するとして

算出する。具体的には、次のとおり。

9,600円×100%×45日=432,000円

9,600円× 75%×45日=324,000円

9,600円× 50%×45日=216,000円

9,600円× 25%×45日=108,000円

合計1,080,000円

どちらの計算根拠によるかは、事案によります。

保険会社は、①基礎収入について、賃金センサスの約9,600円ではなく、任意保険基準としての5,700円で提示してきますから、これだけ でも相当の差があります。また、保険会社は、②休業日数について、過小評価した日数で提示する場合があります。極端な場合、保険会社は、主婦の休業損害を 0円と提示することもあります。

主婦の休業損害については、弁護士が介入した場合とそうでない場合で、その金額が大きく異なることが多いといえます。

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